2020年5月10日 谷国定神父メッセージ

2020/5/10 復活節第5主日(ヨハネ14・1-12)

連休期間があっという間に経ってしまいました。皆様はいかがお過ごしでしょうか。

毎年、この期間には、たくさんの人々は観光地に行ったり、ホテルに泊まったり、家族とゆっくり過ごしたりします。一般道路だけでなく、高速道路にも多くの車が走ります。連休で、各地の行楽地はいつも渋滞が予想されます。渋滞を避けるために、別の道を選んだり、行先を変えたりした人々が少なくないでしょう。しかし、今年、世界的な流行のため、日本社会に住んでいる私たちを含めて、たくさんの人々が5月5日に政府からの発表した「緊急事態宣言」の5月31日までの延長に協力し、外出自粛をしています。

生まれてから今日に至るまで、私たちはいろいろな道を歩んで来ました。学校への道、会社への道、故郷への道、親戚の家への道、教会への道など。一つの目的地に行くのに、いくつかの道があります。長い道もあれば、短い道もあります。広い道もあれば、狭い道もあります。たくさんの道の中で、私たちは自分の慣れて来た道や好きな道を選んで、その道を歩んで来ました。

先週の主日の福音の中で、イエスはご自分が良い羊飼いで、ご自分に属する羊たちの一匹一匹を知り、羊たちに配慮して、豊かな茂った牧草に連れてくださることを私たちに伝えてくださいました。ですから、良い羊飼いであるイエスのそばにいれば、羊である私たちは安心して、霊的に成長して行きます。

そして、本日読まれる福音において、イエスは「ご自分が道であり、真理であり、命である」とはっきり述べておられます。イエスの述べられた「道」はイエスの弟子である私たちの本当の故郷である天国につながります。この道に入った私たちは独りぼっちで歩むのではなく、イエスの教会と私たちの小教区とイエスと共に歩んで行きます。イエスご自身が私たちを案内して、父である神に出会えるように導いてくださるのです。

イエスと共に歩む道は私たちの日常歩む道と似ていることもあれば、異なっていることもあります。似ている点は、家族のメンバーとの係わりや会社の同士とのつながりや小教区との連帯や人々との付き合いがあることです。違っていることは、その道には偽りや妬みや分裂がないことです。それゆえ、イエスと共に歩むときに、私たちは愛とゆるしと連帯と一致の中で歩んで行くよう招かれているのです。私たちがそれを意識して歩むなら、私たちの歩んでいる道は豊かな活力と愛に満ちあふれることになるのではないでしょうか。

イエスの時代には、少なくとも四つの宗派がありました。それぞれの宗派は自分なりの考えで律法を解釈したり、規則を定めたりしました。彼らの説明は律法その意義以外のことと世俗的なことに基づいたものです。そのため彼らの間には、連帯と一致の代わりに分裂が出て来ました。

新型コロナウイルス感染の一日も早い終息を願う私たちは教会と小教区とのつながりを示して、心を合わせて神に祈りを捧げています。そればかりでなく、世界的な流行防止のために、教区の呼びかけと政府の発表した「緊急事態宣言」に協力して、社会との連帯をも表しているのです。5月4日のニュースの感染者増減についてのグラフによると、「緊急事態宣言」の前後で感染者の人数は変わったことがはっきり見えます。というのは、政府からの「宣言」発表の前は感染者が増えつつありました。政府の呼びかけの後、国民の協力のおかげで感染者が少しずつ減って来ました。

世界人口は77億人ぐらいです(2019年の世界人口統計)。その中で、カトリックの人口はほぼ13億人です。世界人口と比べると、イエスを信じる人数はまだわずかです。多くの人々の中から、イエスに選ばれて、イエスの弟子となり、イエスにおける信仰を生きる私たちはその信仰を誇りにすることが出来るのではないでしょうか。

世界的な流行の影響で、先が見えず、気持ちが折れたような現状の中でも、イエスは私たちにイエスと共に真理と愛と連帯と分かち合いとの道を歩み続けるよう呼びかけておられます。その道を歩む私たちは、きっとイエスの約束された私たちの真の故郷である神の国に到達することに違いないでしょう。

「わたしの父の家には住むところがたくさんある。もしなければ、あなたがたのために場所を用意しに行くと言ったであろうか」(ヨハネ14・2)。

カトリック大宮教会
主任司祭 谷  国定