2020年5月3日 谷国定神父メッセージ

2020/5/3 復活節第4主日(ヨハネ10・1-10)

今年、新型コロナウイルスの影響で、キリスト者である私たちは他の年と違う信仰生活を過ごしています。灰の水曜日から今日に至るまで、二ヶ月ほど経ちましたが、私たちの共同体と他の小教区の共同体は公開ミサと公的な活動がまだ出来ていません。日本に住んでいる私たちだけでなく、全世界の人々は突然生活が変わったという体験をもって、不安の中で生活しています。

毎日、多くの感染者が出てきました。政府の発表された「緊急事態宣言」と医療関係者の努力にも拘わらず、感染者の人数が増えつつあります。4月30日のニュースによると、5月6日までとなっている緊急事態宣言について、安倍総理大臣は参議院予算委員会で、現状では、全面的な解除は難しいことを認めて、延長するかどうか、期限のある程度前に判断する考えを述べました。現在、私たちを含めて、多くの人々は不安と恐れとの中で、新型コロナウイルス感染症に対する警戒を厳重にしながら、日々を過ごしています。

世界的な流行に直面している私たちは人間の弱さと限界と普通の目で見えない新型コロナウイルスの恐ろしさを認めざるを得ないと同時に、私たちの寄り頼む神を一層確信することが出来るのです。それゆえ、私たちは敢えて、自分の命と生活を神に委ねて、神と強く結ばれることを渇望します。

ヨハネ福音の中で、イエスはユダヤ人のとても親しいイメージである「羊の門」と「よい羊飼い」を使って、ファリサイ派の人々に話されたことが描かれています。羊の囲いには一つの門しかありません。その門から、羊たちと羊飼いたちは入ったり、出たりします。そこに入った羊たちの安全は門番に委ねられて、羊飼いたちは安心して宿屋などに泊まることが出来ます。そして、翌日になると、羊飼いたちは自分たちの羊の名を呼んで、彼らを牧草に連れて行きます。

イエスの話された譬えにおいて、二つのことが強調されています。一つは羊飼いと羊たちとの親しみです。羊飼いは一匹一匹の羊の名を知って、呼びます。羊たちは羊飼いの声を聞き分けられます。羊飼いとの親しみがあったからこそ、羊たちにとって、羊飼いの一声があれば十分なのです。羊たちはその声に導かれ、従い、歩き始めます。もう一つは良い羊飼いの羊たちに対する配慮です。羊飼いの配慮のおかげで、羊たちは恐れがなく、安心して成長していきます。その羊飼いと一緒にいれば、羊たちは豊かに茂った牧草に出会えることにちがいないのです。

現状では、キリスト者である私たちと他の宗教の人々と世界の人々と共に世界的な流行に直面しています。私たちの日常生活と信仰生活は苦難や恐れや不安に覆われています。教区の呼びかけと政府の「緊急事態宣言」と医療関係者の尽力と私たちの協力にも拘わらず、毎日多くの感染者がまだ出てきます。私たちの目の前には、新型コロナウイルス感染症の恐ろしさや暗闇が続いています。

復活節第4主日に読まれるヨハネ福音において、イエスは私たちに大切なことを伝えておられます。それは良い羊飼いであるイエスが私たち一人一人を忘れず、世界的な流行の嵐に見舞われている私たちと共に歩んで、私たちを希望と平和に満ちる「茂った牧草」に連れて行かれることです。良い羊飼いであるイエスと親しくなって、イエスと共にいれば、私たちは直面している苦難や暗闇や絶望を乗り越えて、希望と平和に満ちあふれる「牧草」を見つけるでしょう。

先週の主日に、大宮教会の皆さんへのメッセージの中で、私は皆さんに「できればロザリオを唱えて、霊的なバラとしてマリア様に捧げましょう。そして、5月3日に、私と心を合わせて、新型コロナウイルスに感染した人々と世界的な流行の一日も早い終息のために祈るように」と呼びかけました。教皇フランシスコも全世界の信者たちに向かって、ロザリオを唱えるよう呼びかけておられます。また、教皇は信者たちの祈りを助けるために、二つの祈りを作成されました。私はその中の一つを選んで、皆さんとご一緒にお祈りをしたいと思っております。

教皇の作成された「聖母への祈り2」はこちらです。